我が国の道路は、優れた生活基盤、物流基盤として社会、経済活動の発展に大きく貢献しています。
その一方で、道路交通の発展は交通事故の増加、渋滞の慢性化、環境の悪化、エネルギー消費の増大といった諸問題を引き起こしており、これらに対する総合的な対応が求められています。その解決策として、最先端の情報通信技術を用いて、人と道路と車両とを一体のシステムとして構築する高度道路交通システム(ITS:intelligent transport systems)に期待が集まっています。
このような状況の中、有料道路における料金所の渋滞解消、キャッシュレス化によるドライバーの利便性の向上、管理費の節減等を図る自動料金支払いシステム(以下「ETC」という。)の開発が官民連携のもと進められてきました。
このシステムは、21世紀の高度な道路システムの構築に向けて、通行車両に装置した車載器と地上に設置された基地局との間で無線通信を用い、料金所等で停止することなく通行でき、自動的に料金の支払いを行うシステムです。
このため、道路整備特別措置法(昭和31年法律第7号)を実施するため定められた「有料道路自動料金収受システムを使用する料金徴収事務の取扱いに関する省令」において、ETCを使用して料金を徴収する会社等(以下「自動料金収受者」という。)が行うETCに係る情報の安全確保の基準が定められ、この中で、複数の有料道路を通行する利用者一般の利便に照らし、情報の安全確保の措置が一元的に実施されることが必要であることに鑑み、その効率的かつ確実な実施を目的とした民法第34条の財団法人に、(1)情報安全確保規格の提供代行、(2)識別処理情報の付与の業務を行わせることとされました。
これに基づき、各自動料金収受者からの指導・要請のもとに、自動車業界、電気通信業界、クレジット業界の関係者の総意をえて、平成11年9月2日に「財団法人道路システム高度化推進機構」が設立され、上記業務を専門・一元的に実施するとともに、統一性のある高度な道路システムの普及を支援することにより、道路利用者の利便性の向上と道路の効率的な利用に寄与し、もって国民生活の向上と経済の活性化に資するものであります。
当機構は、平成25年4月1日に一般財団法人に移行、平成26年9月1日に、ETCとDSRCサービスの一層の普及拡大と効率化及び高度化の推進を目的として、(一社)ITSサービス推進機構と合併し、合併後の名称を(一財)ITSサービス高度化機構に改めましたが、引き続き、道路利用者の利便性の向上と道路の効率的な利用に寄与し、国民生活の向上と経済の活性化に貢献して参ります。